Leading the way in the new digital age
Advanced research group

“デジタル新時代をリードする産官学連携の先端研究母体”

デジタル証明研究会

デジタル証明研究会について

デジタル証明研究会 設立趣意書

経済・社会全体で進むデジタル化は、生成 AI などの発展もあり、人々の生活にとって欠かせない状況になっています。これに合わせて、情報通信の世界も、情報の流通に金銭的な対価がからむようになり、利便性の上昇とともに危険性が問題になる場面も増加しています。他方で、生成 AI の普及により、書面や写真が本物か生成されたものかすら見分けがつかない時代になりました。書面や写真の証拠性が大きく揺らぐ状況が生まれています。そのような状況下、フェイク情報を利用して金銭的価値を詐取する犯罪も増加の一途を続けています。

デジタル上でも真正性を確認でき、改竄の有無を判別できるような技術(以下「デジタル証明」と称します)については、技術的・社会的な議論は活発に行われるようになっていますが、それが新時代のルールとして適切に社会実装されていくためには、法学的な議論や、より広く法律・経済・経営などの諸学をつなぐ「ビジネス法務学」的な議論を進展させていくことが必要不可欠であろうと考えられます。とりわけ、デジタル証明の民事・刑事にわたる法学的な検討を進めて適切なルールを創設することは、今後想定されるさまざまな新種取引の展開に裏付けを与え、トラストサ ービスや ID マネジメントなど、これからの経済活動を支える活動基盤を構築する大きな理論的支柱になると考えます。そして、この理論的研究の確立は、わが国から世界に向けた政策提案への基礎を提供することにつながるでしょう。

実際、デジタル産業の発展のために、いまわが国において必要なことは、デジタル証明の議論を深め、企業家が自在に活動できる活動基盤の理論的根拠を整えることです。しかしそこには、民の活動に対する学と官の適切な協働、知の結集が必要です。急速に変化進展する社会に対応する説得力のある「ルール創り」は、広く企業家文化の醸成と日本経済全体の活性化をはかることにつながるものと信じます。

そのために、私どもは、デジタル証明に関する研究会を設立し、広く関係者のネットワ-クを形成して共同研究を進め、合意基盤を形成することを企図しました。将来的には、広くビジネス法務全般を研究対象とすることも視野に入れています。

本研究会には、法学を中心とする社会科学系研究者だけにとどまらず、企業、金融機関及び官庁で活躍する実務家や公務員の方々、さらには人文科学・自然科学系の研究者にも参加をしていただくことが求められます。デジタル新時代をリードする産官学連携の先端研究母体となるべく、私どもはここに「デジタル証明研究会」を設立します。
以上の趣旨を御理解のうえ、ぜひ本研究会への参加をお願いする次第です。

2024年7月23日
デジタル証明研究会座長
池田眞朗

デジタル証明が求められる時代的背景

研究会メンバーについて

  • 研究者・有識者

(敬称略、50 音順)

池田眞朗

座長
(慶應義塾大学名誉教授 兼 武蔵野大学名誉教授)

1973年慶應義塾大学経済学部卒業、1978年同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)(慶應義塾大学)。専門は民法および金融法。司法試験(旧・新)考査委員、フランス国立東洋言語文明研究所招聘教授、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)国際契約実務作業部会日本代表、日本学術会議法学委員長、金融法学会副理事長、武蔵野大学副学長等を歴任。主著『債権譲渡の研究』(全5巻、弘文堂)。2012年紫綬褒章、2023年瑞宝中綬章

有吉尚哉

事務局
(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士)

2002年弁護士登録。2010-11年金融庁総務企画局企業開示課専門官。金融審議会専門委員、財政制度等審議会臨時委員、金融法学会理事、一般社団法人流動化・証券化協議会理事等を務める。資産流動化取引その他の金融取引、信託取引、金融規制対応等の分野を専門とする。著書・論文多数。

安藤英作

(元・総務省総括審議官)

1985年東京大学卒、郵政省入省。内閣参事官(IT担当室)、総務省大臣官房会計課長、厚生労働省情報政策政策評価審議官、総務省郵政行政部長等を経て、2018年総務省大臣官房総括審議官(情報通信担当)。三菱UFJ信託銀行業務顧問、WOWOW特別顧問を経て2024年4月からリーテックス社顧問。

内海博俊

(東京大学大学院法学政治学研究科・法学部 教授)

2007年東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了。東京大学大学院法学政治学研究科助教、東北大学法学研究科准教授、立教大学法学部准教授、同教授を経て2023年4月より現職。専門は民事訴訟法。

小倉 隆志

(リーテックス株式会社代表取締役、武蔵野大学客員教授)

1986年一橋大学卒、野村證券入社。日本アジア証券代表取締役社長、エフエム東京執行役員経営企画局長、CSK-IS執行役員を経て、2009年日本電子記録債権研究所(現Tranzax株式会社)を創業し代表取締役社長。2019年システム・ファイナンス(現リーテックス株式会社)を創業し代表取締役社長。武蔵野大学法学部客員教授 国際公認投資アナリスト。著作『企業のためのフィンテック入門』。

片山 直也

(武蔵野大学法学部長、大学院法学研究科(ビジネス法務専攻)研究科長、法学研究所長、慶應義塾大学名誉教授)

1983年慶應義塾大学法学部卒。1988年同大学大学院法学研究科民事法学専攻後期博士課程修了。博士(法学)。慶應義塾大学法学部教授、同大学大学院法務研究科(法科大学院)教授を経て、2024年4月より現職。法制審議会(担保法制部会)委員(2021年~)。主著は、『財産の集合的把握と詐害行為取消権』(慶應義塾大学出版会)など。

加毛 明

(東京大学 大学院法学政治学研究科
教授)

2003年3月東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科助手、助教授、准教授を経て、2019年7月より現職。経済産業省・産業構造審議会・臨時委員(2018年7月~2020年7月)、金融庁・金融審議会・専門委員(2014年10月~2020年10月)、法務省・法制審議会・幹事(2022年10月~2024年2月)。専門は、民法、信託法。

河原 淳平

(前・警察庁サイバー警察局長)

1988年上智大学大学院修了、警察庁入庁。国際刑事警察機構事務総局(フランス)においてICPO国際通信網の近代化と暗号システムの運用管理を担う。帰国後、兵庫県警察本部外事課長、和歌山県警察本部警務部長、石川県警察本部長、警察庁長官官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、同情報通信局長等を経て、2022年新設された警察庁サイバー警察局の初代局長に就任。2024年1月に警察庁を退官。

菅 弘一

(虎ノ門第一法律事務所弁護士)

1987年慶應義塾大学卒、1991年司法試験合格、1994年検事任官、2007年検事退官、同年弁護士登録。2008年慶應義塾大学法学部法務研究科教授、2016年武蔵野大学法学部客員教授。金融商品取引法違反事件、贈収賄事件等の弁護人を担当するなど刑事事件を手がけている。

小出 篤

(早稲田大学教授)

1998年東京大学法学部卒業。株式会社東京三菱銀行勤務、東京大学大学院法学政治学研究科助手、学習院大学法学部助教授・准教授・教授を経て、2023年より早稲田大学法学学術院教授。専門は会社法・金融法・信託法・電子商取引法。国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)第四部会(電子商取引)日本国代表などを務める。

宿輪 純一

(帝京大学経済学部教授)

麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行・三和銀行(三菱UFJ銀行)を経て現職。専門は、通貨・国際経済・マクロ経済・国際金融・決済・金融など。社会貢献公開講義「宿輪ゼミ」は会員数11,000人超を数える。著書に『通貨経済学入門(第2版)』、『アジア金融システムの経済学』など。

白石 友行

(千葉大学教授)

2004年 慶応義塾大学法学部法律学科卒業、2006年 同大学大学院法学研究科民事法学専攻修了。2012年 博士(法学)。筑波大学ビジネスサイエンス系准教授等を経て、現在は千葉大学大学院社会科学研究院教授。その他、慶應義塾大学、筑波大学、三重大学、武蔵野大学の各非常勤講師、筑波大学ビジネスサイエンス系研究員、武蔵野大学法学研究所客員研究員等。主著として、『契約不履行法の理論』(2013年)、『民事責任法と家族』(2022年)等。

竹下 啓介

(一橋大学大学院法学研究科教授)

1999年東京大学法学部を卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科助手、首都大学東京都市教養学部法学系准教授、東北大学法学研究科准教授等を経て、2019年より現職。専門は国際私法。民事訴訟法(IT化関係)部会等、国際私法に関係する多くの法制審議会の部会に幹事として参加。ハーグ国際私法会議判決プロジェクトに日本政府政府代表として参加。現在、同会議の管轄プロジェクトに日本政府代表として参加すると共にプロジェクト全体の議長を担当。

三又 裕生

(㈱パナソニック総研 理事長)

1987年東京大学法学部卒。通商産業省(現、経済産業省)入省。ジェトロ・ニューヨークセンター産業調査員、原子力政策課長、情報政策課長、中小企業庁参事官、大臣官房審議官(環境問題担当)、ジェトロ・バンコク事務所長、内閣府知的財産戦略推進事務局長を歴任し、2020年退官。2021年よりパナソニックホールディングス㈱顧問。2021年4月設立の㈱パナソニック総研の立上げに携わる。

山本 和彦

(一橋大学教授)

1984年、東京大学法学部卒業。その後、東京大学法学部助手、東北大
学法学部助教授、一橋大学法学部助教授等を経て、2002年より一橋大
学大学院法学研究科教授。これまで、司法制度改革推進本部・仲裁検
討会・ADR検討会委員、法務省・法制審議会臨時委員(仲裁法制部会
部会長、民事訴訟(裁判IT化)部会部会長)、同民事判決情報データ
ベース化検討会座長、金融庁・金融審議会委員、最高裁判所・裁判迅
速化検証検討委員会座長などを歴任。

  • 法人・団体

(50 音順)

正会員(大学その他教育機関)

一橋大学大学院法学研究科、武蔵野大学大学院法学研究所

オブザーバー

警察庁、総務省、金融庁、経済産業省、中小企業庁、全国中小企業団体中央会

賛助会員

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、イオン株式会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)、

一般社団法人日本クラウド産業協会(ASPIC)、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、リーテックス株式会社

事務局

学校法人武蔵野大学(法学研究所)に設置すべく準備中。
(所在地)〒135-8181 東京都江東区有明 3-3-3

スケジュールのイメージについて

開催期間

2024 年7月より2025年夏頃(目途)  デジタル証明研究会を開催

  • この間、隔月で 6 回程度会合を開き、討議の成果を随時取りまとめる。
  • 成果については、関係省庁・機関等に実現の働きかけを行うとともに、広く社会に周知活動を行う。
  • デジタル証明に関し継続的な検討を行うための体制整備等の方策についても討議し、池田座長が提唱する広範囲の課題解決を目指す「ビジネス法務学」構想の一翼を担う学会とすることを検討する。